2020IT補助金

ITツール名　:　介護キャリア　ステーブル　システム（Career 　Stable　System）

まず、このシステムを導入することにより期待される効果は、「介護にかかる業務の効率化」と「業務の質の向上」導入するシステムの機能は２つです。

１）モニタリングシステム

　１つは、介護業務の効率化のシステムです。 　介護業務には、心身維持に必須とされる排泄や食事等の管理とその他の生活周辺業務があります。実態として、業務の多くは生活周辺業務が中心で、その中でも、特にナースコールへの対応が介護負担の中心になっています。ナースコールは、不規則である場合がほとんどで、そこに、認知症などの精神疾患に起因する症状が加わり、介護の負担は甚大です。ある報告では、ナースコールは平均して、高齢者施設１居室あたり、１日に１．０８回程度と言われています。それは、１０人の入居者でいると、１日に約１１回、２時間に１回程度ナースコールが鳴るという計算です。それが、日中に集中し、さらに、認知症などの背景が加わると、その数が数十倍に増える場合も少なくありません。一方で、ナースコールの内容は、緊急を要することは少なく、当施設の調査では約８割は緊急を要さない対応です。 　そのナールコール対応には「モニタリングのシステム」を導入します。居室のモニタを導入することで、ナースコールを利用し、動かずに対応することが可能です。また、せん妄や認知症の高齢者の行動を細かく把握することで、行動の形態や個別性を把握でき、効率的な対応に寄与できます。少ない介護人材を機動的にかつ効率的に動かすには、少ない動きで、高齢者をマネジメントすることが重要です。

２）E-Learning

一方で、モニターで動き確認し、その動きに対し適切な対応を選択するには、医学や心理学に係る高度な知識が必要です。例えば、ナースコールの内容が、認知症による幻覚なのか、せん妄なのか、実際に起こっている問題なのか、その場で判断し適切な行動ととらなければなりません。単にモニターの設置だけでは、業務の効率化は達成されません。 そこで、モニタニングのシステムに加え、知識を身につけさせる機能を合わせて導入します。その機能が「Eーlearning」です。 当法人では、地域の複数の医療機関と共同で、心理学と医学、死生学を基礎とした独自の教育プログラムを準備しその普及と学習を定着させてきました。 プログラムでは、心理学、医学、死生学の知識にかかる専門家を招聘し、年間３０時間を超える講義を行なってきました。現在は、新型コロナウイルス伝播を契機に、オンラインに移行している最中です。 　オンラインによる講義のデメリットは、発信された講義の学習効果の測定です。そこで、学習効果の判定と講義の効率化、講義の質の向上のために、Eーlearning の導入を行います。Eーlearning を導入することで、オンラインで発進した情報の知識としての定着と進度の確認が可能です。 　

２）スタッフ管理出退勤システム

医療や介護の現場では、働く場所が複数に点在する場面も多々ありいわゆるタイムカードのようなシステムでは管理が煩雑になるケースも近年ではよく見かけるようになりました。 またそのタイムカードの場合結局手で集計しそれを総務部や経理部に持っていきまた手で集計するというような二度手間三度手間になることも多々あります。 一括で集中管理できるシステムとしてこのスタッフ管理出退勤システムを利用することにより社内の業務改善や経理の正確な情報を作成することができます。

　以上の三つの機能を導入することで、「介護にかかる業務の効率化」と「業務の質の向上」「人件費の明確化・透明性の向上」が成果として得られます。ただし、最終的な成果は、上記の三つにとどまりません。

　 　さらに、「介護職の職業満足度の向上」が期待できます。 介護業界で古くから語られる最大の問題は「人材不足」です。 介護には多くの技法があり、学ぶには多くの学習機会が必要です。しかし、実態として、生活援助が中心であれば、誰でもできるという側面もあります。そういう意味で、専門性が低く見られる場合も多く、低い所得と合わせて職業満足度を下げる要因となっています。当法人では、介護人材のキャリアについて、３年前から定期的に専門学校の学生を対象としたアンケート調査を行なってきました。そのアンケート調査の結果から、「知識への欲求の高さ」と「独創性の高い知識」へのこだわりが高いことがわかりました。若い介護人材にとって、介護にかかる知識に加え、他の人にない知識を求めているのです。その若い介護人材のニーズに対し、Eーlearningを活用した学習機会を積極的に提供し、かつ、モニタリングを通じた、効率的な高齢者のマネジメントを学ぶことは、より有意義な働き方を創造できるはずです。 最終的に求めるのは、「介護人材のキャリアの安定（Stable）」です。業務効率化、負担軽減から始まり、介護職の自己実現への欲求を基礎に好循環を生み出せれば、介護職のキャリアがより安定的になるものと期待できます。